第1回特別展 (平成12年8月1日~9月10日開催) |
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特別展で伝えたかったこと 展示構成としてこだわったことは単なる自然史分野の展示にとどまらず、当館のオリジナル性を活かすことに力をそそぎ、その結果「トンボと人とのかかわり」に重点をおき歴史・美術・工芸・意匠・文学・唄・方言・遊び等など、様々なジャンルを越えて資料を集めた展示にしました。そのことにより、トンボと人間の歴史がいかに身近で長い結びつきであったか、また少しでも自然環境について考えるきっかけにつながれば・・・という願いを託しました。又今回、夏休みシーズンに開催ということで当館の海に近い恵まれた自然環境を展示と一体化させることに挑戦しました。そして地元大洗町の保育園児から小学生までに「トンボ」の絵を描いてもらい新館エントランスホールに展示したことにより、家族そろって楽しんでいただけるような結果に結びついたことと思われます。「明るく開放的な雰囲気づくり」を大切にしました。 |
展示構成 展示会場は今回3ヶ所に分散する形式をとりました。 会場1: 会場2: 会場3: 毎回展示調査でいろいろな方達とお会いしますが、いつも親切な協力者の方に力を貸していただき心温まります。今回も自分から率先なさってこの展示の為のオリジナル作品をつくって下さった方がいらしゃいました。又、この他大洗町教育委員会のご協力や自然史分野でご熱心に展示のご指導・ご監修いただいた昆虫研究家の広瀬 誠先生にも大変助けられました。 この展示を通してとても感じたこと、それは一つの展示を成功させるのには多くの人々のご協力、それが一番の大きな力なのだということです。 |
トンボ・知ってる? 「トンボ」は日本人の心に昔から愛されつづけてきている昆虫であり、古くは『日本書紀』のなかで、日本国の古名として「秋津州」 (あきつしま)*あきつ=トンボ と呼ばれ讃えられています。 また、武具の模様でも、トンボは前に進んで退くことを知らないことから「勝虫」とも呼ばれ縁起をかついで好まれています。その他「将軍虫」ともいわれ、戦国時代の武士に好まれよく身につけられました。その理由としてはすばやく攻撃力が強く、空中を飛び交う小虫を食べる勇敢な行動を指しています。このような「強さ」の象徴として愛される一面、古典文学の世界では『源氏物語』蜻蛉(かげろう)の章や『蜻蛉日記』の中で、トンボが短命であり夕暮れに飛び散る様も寂しげにみえたのであろうか、「人間の身のはかなさ」の象徴として叙情的な表現で描かれています。そして現在の私達にとっても、トンボの飛ぶ姿はなぜか心に郷愁をそそるものです。このように「トンボ」は様々な魅力をもった、不思議な存在だと思います。 |