第3回特別展 (平成14年8月3日~9月8日開催) |
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展示内容 当館では展示において「郷土の素晴らしい人物」を紹介していきたいと考えております。そして今回の展示はその第1回目ということで、(学生野球の父)と呼ばれた飛田穂洲と石井藤吉郎の2人をとりあげました。この2人は当館のあります「大洗」と関連深く、穂洲は大洗の小学校で本式野球を習い開眼し、藤吉郎はこの地でうまれ育ちました。 この2人の人生をみていますと「何かを真剣に成し遂げることの素晴らしさ・そして心の強さ」を感じます。それをうまく展示に表現し、なかなか夢がみいだせないと悩む現代の若者の心に訴え、勇気がでる展示にしたいというのが私の当初の考えでした。 しかし、展示構想を練っていくにつれて様々な問題がでてきました。私としては展示の対象をこれからの社会を担っていく子ども達・若者達中心にと考えておりましたが、準備を進めていくにしたがって「飛田穂洲・石井藤吉郎」の2人を知っている子ども達は少ないことに気がつきます。学校の先生にもお伺いすると、まず子ども達に人物を知ってもらうこと、興味をもってもらえることが大切だとアドバイスをうけました。飛田穂洲の名前を「すいしゅう」と読める人も少なくなっており、じつは私自身も大洗にきてから知った人物でした。 そこでどうしたら、多くの皆様に楽しんでいただけるのだろうと悩みました。しかし「子ども達にも知ってもらいたい」という願望は大きくなるばかりです。この問題を解決する方法は「教えてもらう・語ってもらう」それしかないのです。 そして「家族で語りながらみる展示」にやっと気がつきました。当時のあこがれた選手達を知っている現代のお父さんやおじいさん方から子ども達へと語って楽しくみていただく展示。今回、このことが大切なポイントになりました。 展示構成は大きく分けて4構成にしました。 (1)展示の導入は、小さな子どもさんもみるだけでおもしろく感じていただけるように明治時代(日本野球の創世期)から現代までの野球道具の変遷を展示いたしました。 (2)「『天皇の野球チーム』を知っていますか?」これは展示調査中に昭和天皇が大正時代に野球チームをつくっていたということを初めて知り、新鮮に思えたので展示にとりあげてみました。 (3)そしていよいよ「飛田穂洲と石井藤吉郎」の人物展示です。年代ごとにその人の軌跡をおってみていただけるようにしました。大きくわけると第二次世界大戦の時代で二つに分け、学生野球の創世期をつくった穂洲、そして戦後の野球を確立した藤吉郎という流れで資料や写真等で展示しました。 (4)最後のコーナーでは当時野球を愛した文学者たちが沢山おりました。そこで正岡子規が水戸の偕楽園で子どもが野球をして遊んでいる情景を感心して書いている文章や長塚節の弟である順次郎がやはり野球好きであったことをピックアップしてみました。 |
結果 うれしいことに、今回家族できてくださるお客様が沢山みられました。そして、自分の住んでいる土地に素晴らしい人物がいるということを知り感動なさった方もいらっしゃれば、昔をなつかしむお父さん達、そして昔の野球の歴史に興味をもってくれた子もいました。なにより、家族で楽しくみれたと話して下さったお父さんの言葉は私自身とても感激しました。「自分の学生時代の青春話を子どもが楽しそうに聞いてくれた。」この一言で、今回の展示は締めくくりたいと思います。 |